７/２の旅人

今年、七ヶ浜町役場に入った新人君の話。

3月11日、あの時僕は仙台の姉の家に行っていました。

地震が起きた時は、とても立っておれず、

しゃがみこんで部屋の四隅で揺れに耐えていました。

実家が七ヶ浜にあるので車で急いで戻ることにしました。

多賀城市を走っていると第一波の津波に襲われました、

タイヤハウスが浸かる程度でたいしたことは無いなと思っていたら。

その後ろから巨大な高さの第2波の津波に気がつきました。

これはヤバイと思い車から降りようとドアを開けたら

ドアが波で吹っ飛んでいきました。


それから、もみくちゃにされながら400ｍ程、漂流物に掴まりながら

流されました。

途中にあった庭木にしがみつき、民家の屋根に登りました。

体はずぶ濡れで、暫くすると雪が降ってきました。

寒くてたまりませんでした。



向かいの二階家に老夫婦の姿を見つけたので屋根越しに声をかけました。

「そちらに行って暖をとらせていただけませんか？」

快く承諾してくれたので二階からお邪魔し５,６人の方と一緒に毛布などに包まって朝を待ちました。


一晩中、タスケテーー。ココニイマス。と声が聞こえていました。



それも朝には聞こえなくなっていました。





今年から役場に就職が決まり

4月1日から役場に登庁する予定でしたが。

そんな事も言っておれず3月15日に役場に行き

「なにか、手伝える事はありませんか？」とお話したら

その場で今から手伝ってくれと言われ今に至っています。


僕は「頑張りすぎないで体に気をつけてください。」と言うと


「まだ、役場の人も一人見つかっていません。その方は女性職員と二人で沿岸のパトロールに出かけ

津波に襲われました。

女性のほうは木にしがみつき助かりましたが男性のほうは波にのみこまれて

いまだに行方不明です。

先日も職員が過労で救急車に運ばれそのまま亡くなりました。

そんな中、仕事をしているとなかなか休みを取る事ができません」


ニコニコしながら語ってくれた。




そ、だね。君はまだ若いし、まだ頑張れるかもしれないけど。

でも休むのも仕事。体に気をつけてがんばりすぎないで！